雲のむこう、約束の場所(小説版)

WOWOWで視聴した映画版で釈然としない部分があったので、思い切って小説版も購入。ほぼ二日で一気に読破してしまった。通勤時の電車内で読書をする習慣のない自分としてはかなりのハイペースだと思う。それだけの吸引力があったということだ。

同時に「小説・秒速5センチメートル」も購入したのだが、amazonの都合でこっちだけが分割して発送されたので、映画視聴とは逆の順序で読むことになった。しかし、あとで届いた「秒速~」とページ数が倍以上も違うのに値段は同じとは(雲の~の方がかなり分厚い)。

映画を見たときの感想として、確か「釈然としないところがある」と書いたが、そこは見事に解消できた。だから購入してよかったと思う。というか、この小説はかなり出来がいい。映画版を見た人は一度は読むべきだと思う。映画で見たときの印象(作品感だとかキャラの性格付けだとか)を全く変えることなく、映画では描かれていなかった内面だとかサイドストーリーが見事に表現されている。もちろん、映画で描かれていた部分を改変することもない。これはなかなか出来ないことだ。

そういう「個人的には高評価である」という前提の元で、映画では釈然としなかった部分についての感想を書いてみる。以降、多少ネタバレありなので要注意。



自分が映画を見て釈然としなかったのは、冒頭での主人公の状況だ。映画でのラスト以降~映画の冒頭の間に何があったのかわからなかったが、小説ではその部分を終わり際に詳しく書いてある。つまり、3年間は二人で幸せに生活していた。でもその後、サユリは自立するために出て行ってしまい、それから10年経った状況が映画版の冒頭らしい。

この部分を読んで、少しは救われ、でも一方ではやはり納得がいかなかった。なんでこのタイミング(=サユリが出て行って10年後)で区切るんだろう。全く同じ展開だったとして、10年後じゃなくて、2年後で切っていたら、ものすごくハッピーな作品になっていたはず。つまり、塔破壊後二人は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたしで(その後二人がどうなるのかは想像に任せることができる)。また、10年後以降に希望を持たせる終わり方もできたはずだ。

でも新海誠はそれをしない。あくまで切なさを前面に出す作風だからだろう。過去の思い出は美化され縛られ、そしてそれを失ってしまったら未来にも希望がもてない、というのが彼の好みらしい。懐古主義かつ悲観主義なのだろうか。

でも、その作風のおかげで心に残る作品になっているところも否めない。自分も文句を言いつつも小説まで買ってしまっているのだから、すっかり嵌められているのだろう。今後その作風が変わるのか加速するのか、引き続きWatchしていこうと思う。

予告:
次は「小説・秒速5センチメートル」の感想の予定。

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